PVが付く意味を考えてみよう。こんにちは、夕立P(@Yu_dachiP)です。
どうやら今では、毎日100曲以上のボカロ曲がニコニコ動画に投稿されているみたいです。そしてニコニコ動画は本来は「動画コンテンツ」。クリエイター達がコンテンツを作って提供をして、受け手がコメントやマイリスト等をすることで盛り上がり、コミュニティーも形成されています。
ボカロ曲はなぜ”動画”なのか?
ボカロ曲は”音楽である”という前提
さて、ボカロ曲といえど本来であればその本質は”音楽”にあると思われます。しかしボカロ曲が音楽投稿サービスおよびサイトに投稿されても、そもそも「ほとんど聴かれない・Digられない」と嘆く中小ボカロPの声はあちこちで見かけます。ぼくも割とそうです。(そりゃ大手のボカロPの曲はハチャメチャに再生・Likeされてはいますけどね)
もしかしたら、これは「音楽が本質である」という前提から考え直さないといけないのでは?と思い立ちました。そこで着目したのが「なんでわざわざボカロPは動画を作ってるの?」という部分です。
ボカロ曲に動画が付く理由
ニコニコ動画でボカロ曲は、ボカロMV……いや、そこまで凝ったものでなくとも、1枚絵に歌詞テロップが表示されるくらいの、とにかく何かしら動画の形で投稿されます。
この「動画にする」にはもちろんニコニコ動画が本来は音楽ではなく動画を投稿するサービスである、という事情もあります。
では何故、ほとんどのボカロPの実態は「作曲者」であるのに動画制作まで何らか手掛けなければならないのか?
多くのボカロ曲は”動画”という総合メディアアート
少なくとも動画が作られているボカロ曲について、ぼくはこう考えています。音楽に加えてイラスト・映像・歌詞、そして時にキャラクターや作者本人などが飛び出し飛び交い、動画という枠の中に収められて、ひとつの作品としてまとまっています。
これがボカロ曲が音楽ではなく”動画”と考える理由です。音楽の部分を切り離して考えることも当然可能ですが、ニコニコ動画で動画が付いていると大抵のユーザーは動画込みで楽しんでいるという実態を見れば、動画という性質が如何に強いかを思い知らされます。
そもそもニコ動以外で再生されないから
これは音楽のクリエイターとしては致命的なのではと危機感を覚えている部分なのですが、ニコ動以外の場所でもボカロ曲をDigっているリスナーさんは少ないという体感はあります。ぼくの観測範囲でも、SoundCloudまでチェックしているリスナーさんは5人いたかな……ってカンジです。
これはボカロPがニコ動に頼りきりだった・フィールドを開拓しなかったともいえますし、リスナーさんにも同じことが言えるのかもしれません。何にせよ、ボカロPは今でもボカロ曲を音楽→動画にして、ニコ動にアップするという流れがデフォルトのようです。
動画という負担
ここまでボカロ曲が動画として投稿される理由や経緯など書き連ねていきましたが、この”動画がデフォルト”ということで形成されたのは、ボカロPという作曲者が科された重荷であるとぼくは確信しています。
というのも、ただでさえDTM技術の進歩により作曲者がやることが増えたところに(例えば本来であればミックス・マスタリングは音響エンジニアの方の仕事分野でありますが、今では作曲者自身が手がけることが多いです)動画制作の技術まで手を出せるリソースが割ける人間というのは、そう多くないです。また、動画には映像の撮影、もしくはイラストも付随しますので、そちらにもリソースを割く必要が出てきます。
となればパワーのない楽曲制作者は必然的に、動画制作は簡素なものになる・または動画制作者に依頼、イラストはピアプロといったCGMでお借りする・イラストレーターの方に依頼するなど……
とにかくボカロPの負担は大きいです。
これがまだ「動画は聴いてもらうための選択肢のひとつ」程度なら良かったのですが、現状ではほぼ「唯一の手段」として機能しているように思えるあたり、特に中小・新参のボカロPにとって大きな負担や障壁になるのでは?と考えています。
音楽と動画は「異なるコンテンツ」
ここでちょっと考えていただきたいのは、本来であれば音楽と動画というコンテンツは、楽しみ方が違うものである、ということです。
前述の通り、動画は総合メディアアートです。音楽はそうではありません。あくまでも音響芸術です。
ただ、このふたつに共通することに”時間芸術”というものがあります。つまり親和性自体は高いものと考えられます。商業音楽でもPV・MVが付くのが当たり前なものなので、ボカロ曲に動画が付いてPRの一環になるのは自然な流れでもあります。
(蛇足ですが、元々ボカロ曲のボーカルが人間のボーカルより聞き取りにくいという前回のエピソードを思い出すと、歌詞テロップが表示される動画という形式はボカロ曲にとっても都合が良いという考えもあります)
ボカロ曲は動画
話がとっ散らかってきました。むすびます。
ボカロ曲は動画。以上。
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