ニコニ広告の現在と、その本質とは? #vocanote

エッセイ
FirmBee / Pixabay

誰でも推しを文字通り、名前を載せて「推す」ことができる意味について考えてみよう。こんにちは、夕立P(@Yu_dachiP)です。

ニコニ広告のシステムも、随分前に記事を書いた時から変わってきてしまいました。広告によって得られる効果も変わったと思います(中には「効果が得られなくなった」と嘆くユーザーも少なくありません)。
今回の記事では、そのニコニ広告とはそもそも何者なのか?ということを筆者の考えを提示してみます。
そのために、ニコニ広告の特徴について何点か触れた後、どういうことがニコニ広告で起こっているのか?を考えていきます。

ニコニ広告の大きな特徴3つについて

「誰でも好きな動画を推せる」

まず最大の特徴として、ニコニ広告は「動画の関係者(具体的には投稿者)ではない第三者が広告を打てる」というものがあります。ニコニコ動画においては、誰でも好きな動画があれば、その動画を推すことができます。SNSの拡散のような効果ではなく、ニコ動のシステムによるもので、もちろんそれを「工作」というような揶揄をされる謂れもありません(昔は結構見かけましたが……)。

「広告を打った人の名前が掲載される」

これもニコニ広告のシステム上のことで、どういう事になるかと言いますと「動画の制作に関係のない第三者が、動画の広告主という形で名前を連ねることができる」ということです。悪い言い方をすると「共犯者になれる」という具合ですね。これが個人的に実はかなり強力だと思っています(理由は後述)。
また、システム的に名前が掲載されるということで、有名な広告主・およびリスナーの方からの広告は(良くも悪くも)影響力があります。実名を出すのは気がひけるのでここでは控えておきますが、実際そういう影響力を持った広告主の方が存在します。

「ある程度まではノーコストで広告が打てる」

一部のユーザーからは「広告チケットのバラマキを止めろ」と運営に散々言っていることです。ニコ動の運営が頻繁にばら撒いている広告ポイントチケットが、毎日実施されている福引と、広告を一定ポイント打った時になされる福引の2パターンによって入手することができます。運が良ければ1枚の500ポイント広告チケットで3000ポイントの広告を打てる時があります。
一方で、これまである程度は強力な手段だった「割引チケット」はリアルマネーを消費する割には旨味が少なくなってしまったとも言われています。実際「10万ポイント分の広告をリアルマネーを使ってまで打ったのに、再生数がボロボロだった」という嘆きの声も聞いたことがあります。

「ニコニ広告は本当に衰退したのか?」

ぼくは「あまりそうは思っていません」という考えです。実際、広告ポイントを大量に集めることに成功した有名PなりバズったPなり、とにかく目が飛び出るほどのポイントで差をつけることができた人には現在でもそこそこ有効です。

ところが困ったことに、これまで「リアルマネーを上手くやりくりすることでランキングに反映されていた広告ポイントによって、一時的にでもランク上位に上がって注目を得られた」というタイプのボカロPにとっては大打撃でした。そう、現在はニコニ広告のポイントはランキングのポイントの方には反映されなくなってしまったので、こういうタイプの人たちにとってニコニ広告は「オワコン化」したと言われてしまっています。

要するに、現在は二極化が進んだと言ってもいいのかもしれません。

「ニコニ広告、そもそもの本質というのは?」

ここから先は特に個人の感想の色が強くなりますが、ぼくは前述したとおり「動画の共犯者として名を連ねる」ことにあると思います。有名Pの動画に広告主として名を連ねることができる、これファンとしては射幸心を煽られる人もいるんじゃないでしょうか。
また、そういうファン・フォロワーの数を可視化するという意味では恐ろしく強力なツールであるとも考えています。少なくとも他人が好き勝手に、作品に(広告主という形ではありますが)名前を連ねられるツール・サービスって見たことありません(あったら教えてください)。
というわけで、以下の2点がニコニ広告の本質的な意味だと、ぼくは解釈しています。

    • 動画に(広告主として)名を連ねることができる
      作品および作者のファン・フォロワーを可視化できる
  • 「ニコニ広告を打ち合うという生存戦略」

    ここでぼくが提案するのが、見出しのとおりのことです。おそらくこれはニコ動運営の思惑通りに動く事も意味しているとは思いますが……
    ニコニ広告のポイントがランキングのポイントに反映されなくなった→広告に使われるマネーパワーに左右されにくくなった、ということは。今ではニコニ広告を打つ、というのが1人でやる意味が薄れたのだと考えています。制作者1人が頑張ってウン万ポイントの広告を打ったものより、100人のファン・フォロワーがタダでポチっと打った広告の方が強い、っていう状況なのでしょう。

    クリエイター側としては、ニコニ広告にも「ギブアンドテイク」の考え方に基づいたニコニ広告を相互に打ち合う、またファンに広告を打つ手間をお願いするという手段が、これまで以上に有効になってくるのかなというのが、ぼくの現在出した結論です。
    ファン・フォロワーの数を可視化するという点でも、タダで打てる広告ポイントを有効活用するという点でも、この手間を相互にかけることで上手いこと広告が作用してくれるのかな?というハナシです。
    もちろん「俺の動画には広告を打ってくれ!」っていう独りよがりなテイカータイプのクリエイターがふるいにかけられる、という問題もありますが……(人は誰しも大なり小なり見返りを求める生き物なので、もらえるだけもらって行って自分からは何もお返しがない人はこういう時に人望を失います)。

    むすび

    ぼくが以前ニコニ広告に記事を書いた時のような、これまでとは違う戦略およびコミュニケーションがニコ動の広告に求められるようになったんじゃないかなと考えました。
    ただ「オワコン」と嘆くばかりではなく、運営の用意した手段に乗っかりつつも、できるだけ低いコストで効果を得られるにはどうすればいいか?という考えの方がポジティブだよねーっていうぼく自身のスタンスもありますけどね。

    単純・安直なやり方しかしていないと、上手いやり方を知っている人に良いところを持っていかれるだけっていうのも、なんというか社会の縮図みたいだなぁと思いながらボンヤリ眺めていたりもします。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました