iPhone・iPadだけで作曲できる時代になってから数年が経ちました。そろそろアプリのリリースも落ち着いてきた頃です(2014年頃は本当に大量に作曲・演奏アプリがリリースされていましたので……)。
さて、そのスマートフォンやタブレットだけで作曲ができる!と言っても「どのアプリを選べばわからない!」という声も多く聞きます。ぼくも何度か相談を受けたり、当ブログでも紹介していたのですが、やはり年に1度は情報をアップデートしないといけないですね。
というわけで2019年版「iPhone・iPadで作曲するなら、このツール!」というのをご紹介します。
最新版はこちら

iPhone・iPadのどちらでも使える作曲ツール系
KORG gadget2

メジャーアップデートによって2となったKORG gadget、マイナーアップデートも重ねる毎によりシーケンサーとしても使いやすいツールになりました。EDMをはじめとするクラブ系サウンドには超・強力な音が出る音源(ガジェット)を大量に搭載しています。
シーケンス・ソングパターンの管理が一般的なDAWと違って、Z型に進んでいくところが少し戸惑うかもしれませんが、慣れるとこれも凄まじいスピードで曲を構築できるようになります。オーディオ周り(特に歌モノを作る場合のボーカルトラック)に弱いので、そこだけ目をつぶれば、iOS最高の作曲ツールと言っても過言ではないでしょう。
得意ジャンル:EDM等のクラブ系サウンド
FL Studio Mobile

FL Studioのモバイル版です。なんとPC版にもこのモバイル版がVST(内部の音源)として組み込まれています。Android端末にも提供されています。Android勢は現状
まぁこのDAW一択でしょう。
内部のシンセもかなり作り込むことができます。また追加課金で入れられる音源もなかなかテンションが上がる強力なものです。KORG gadgetより一般的なDAWに近い形(時間軸が素直に横方向)なので、PCでDAWをすでに使って慣れている人も、こちらの方が取っつきやすいかもしれません。オーディオトラックも扱いやすいですし。
ただし難点として、Audio Units音源には対応していません。Inter App Audio音源は使用することができます。
得意ジャンル:クラブ系サウンド全般
GarageBand

Appleが提供している無料のDAW。打ち込みのやりにくさが最大の難点ですが、アナログな楽器もかなりの質感でカバーしているのが強み。
ほかに独自の機能として、画面上にある楽器を指一本で演奏(コード弾きも指一本で!)してmidi打ち込することができます。またDrummerトラックというものでは自動でドラムトラックを作ってくれたり、LIVE LOOPSではループ素材を組み合わせて演奏するといったことも可能です。
おそらくiOSのみならず、すべてのDAWの中で最も手軽に音楽・作曲・演奏に馴染むことができるツールだと思います。
また、iOS(iPhoneやiPad)のみでミックスまで完結させるなら、GarageBand上でやるのがそこそこやりやすいです。凝ったミックスをしたい場合はiPadアプリの「Cubasis2」や「Auria」を使うのが良いでしょう。
得意ジャンル:どれもソツなくこなせます(ケルト等の民族音楽、ロック・ポップスも、クラブサウンドも)
iPhone・iPadのどちらでも使える作曲アシスト系
Audio copy
ふたつの作曲アプリ間で書き出した音源を渡す際、直接そういうことができないので、一旦このアプリに保存をしてアプリに送ることになります。また音源の管理アプリという位置付けにもなります。
アプリ内課金では、Loopmastersからリリースされているループ音源を購入することができ、楽曲で利用できます。
Chord Tracker

耳コピ(耳で聴いた曲を自分の手で打ち込み直すような)支援系のアプリです。作曲に直接は関係ありませんが、なにかと耳コピする機会がある人にはおススメです。
端末内の楽曲を分析して、コードを表示してくれます。またA-Bリピート再生機能で指定した区間のリピート再生もできるので「この部分を分析してみたい!」といった要望に応えてくれます。
iKaossilator

指定したスケールからハズさない演奏が誰でも指一本でやれる、演奏系アプリ。リズムトラックや即興演奏なフレーズを組み込みたい時にサクっとそういうのが作れます。アイデア出しにもなにかと便利です。
iPhone・iPadのどちらでも使えるその他のツール
Mobile VOCALOID Editor

VOCALOIDのエディターと音源ライブラリが入っているアプリ、ボカロ曲が作れるようになります。追加課金で他のライブラリ(音源)を追加することができます。現時点で30を超える音源がありますよ。
Editorとしても若干使いにくいところがあること、内蔵エンジンが古いものを使っているらしいこと(V2相当だそうです、情報求む)、midiデータをインポートできないので、モバイル環境完結の場合はエディターで歌メロを打ち込む必要があることなど難点はいくつかあります。ただボカロを扱えるアプリは現状これしかありません(過去にはヤマハが単独で音源とセットになったエディターを売っていましたが)。
iPhoneだけでボカロPになれる時代には、とっくになっていますよ!!
ちなみにiPhoneのみで曲を完結させた例として、ミストファイナー氏の作品『Guilty sheep feat.初音ミク』も併せて掲載させていただきます。
こちらはiPhoneのGarageBandとMobile VOCALOID Editorで曲を作り、そして後述するLurssenMasteringConsoleでマスタリング・仕上げを行っているそうです。
LurssenMasteringConsole

文字通り、マスタリングという曲の仕上げをするためのツールです。このツールは基本的にはプリセット(曲のスタイル)を選択すればあとはイイ感じに仕上げてくれるチートレベルのツールです。ただしその分お高いですが…… 作曲初心者には早い、気もしますがあって損はないのもまた事実。
iPad専用の作曲アプリ・作曲ツール系
Cubasis2

2021年現在では『Cubasis 3』というものがリリースされています!
作曲をすでにされている方々にはおなじみ「Cubase」のiPadアプリ版。PC版のDAWと比べてはいけないんですけど、仕様に色々と制限がかかっていることや、VST(音源などのソフト)が使えないことで、元々PCユーザーからすると「なんでこれができないの?」という不満が出るかもしれません(最もこれは他のアプリにも言えることで、アプリ内に自分の好きなVSTなどをインストールできない・させてくれないApple製品の仕様と考えてください)。
Apple Pencilと組み合わさった時のシーケンサーの操作性は最強です。ただし前述の理由と併せて、標準音源が今ひとつ満足いかないようなペラペラした音というのが難点です(筆者の感覚では、ですが……)。
このアプリではAudio UnitsとInter App Audioのふたつの規格の音源アプリが使えますので、外部の音源アプリで音のしょぼさを補完することが多くなると思います。
ミックスにもかなり使えるかと思います。
Auria

作曲にはほとんど使ったことがないので、その部分については割愛します(それだけ使いにくかったということもありますが……)。
ミックス用途にはかなり強力で、課金で使えるプラグインが特に強力です。具体的にはFabFilterのプラグインがいくつか使うことができます。Pro版は最初からかなりのプラグインを使うことができます。
nano studio2

iPadの作曲アプリでは唯一無二の音が出る、不思議なシンセを積んだアプリ。シーケンス部分も元々モバイル用途に作られていただけあって、多少クセがあるものの慣れると最高のスケッチ速度を叩きだせます。
作曲アシスト・音質操作系
Pro-Q2

2021年現在では『Pro-Q3』というものがリリースされています!
現時点ではiPadで使える最強のEQソフト。ミックスや音質にこだわるなら持っておいて損はないです。ただ作曲初心者には早い。DTM手練の人にはほぼ必須。
Effextrix

強烈なグリッチ効果・DJエフェクトが得られるアプリ。飛び道具的な使い方が浮かびます。同じ企業「sugar bytes」が出しているエフェクト・音源アプリもかなりオススメです。
Final Touch

前述した「LurssenMasteringConsole」と同じ、マスタリングのためのツールです。こちらのほうが自分でいじって設定するようなことが多いと思います。やっぱりちょっと高いけど、iPadで完結させるなら使うようになります(まだその時代にまでは至っていないとも思ってしまいますけど……)。
まとめ
iPhoneとiPadで使える作曲ツールをまとめてみました。その数14個。
iPhoneしか持ってない!という方にも8つ紹介しましたし、このうちあたまの3つは「このうちどれか選んでおけば大丈夫」というものです。なんならGarageBandは無料ですし。
お安く済ませたいなら、とりあえずGarageBandだけあればいいでしょう。そこから目的別にどうするか決めてからアプリの購入に踏み切ればいいんです。
あ、あともう一つ大事なのが、これらのアプリはセールやiTunes Cardの割安キャンペーンなどを駆使してお安く手に入れることができます。活用しない手はないのでぜひ利用しましょう。
ボカロPになりたい方はこちらの記事もあわせてどうぞ。
[amazonjs asin=”B08J6YHFNQ” locale=”JP” title=”最新 Apple iPad (10.2インチ, Wi-Fi, 32GB) – シルバー (第8世代)”]
[amazonjs asin=”B018MX3PNU” locale=”JP” title=”Apple Pencil (第1世代)”]
[amazonjs asin=”B007VQIBB6″ locale=”JP” title=”KORG 定番 USB MIDIキーボード microKEY-25 音楽制作 DTM 省スペースで自宅制作に最適 すぐに始められるソフトウェアライセンス込み 25鍵”]
コメント